
近年、公式通販サイトと見間違えてしまうほどそっくりに作られた偽サイトが急増し、誤って商品を注文して代金を支払ってしまう被害が多数報告されています。
消費者庁では、人気ブランド2社の偽通販サイトによる被害を確認し、被害拡大防止のために注意喚起を呼びかけました(消費者庁の注意喚起発表資料)。
これほど巧妙な偽通販サイトが増えている状況で、私たちが通販サイトを便利に使いつつ、偽通販サイトの被害にあわないようにするためには、どんな点に注意すればよいのでしょうか。
どうして偽通販サイトだと気づかないの?
偽通販サイトは公式通販サイトと驚くほど似せて作られていて、パッと見ただけではまず見分けがつきません。
被害者の多くが「注文した商品が届かない」と、改めて購入したサイトにアクセスしてみたところ、サイトにつながらないことから詐欺だったと気づいています。今やスパムメールではなく、リスティング広告(検索結果画面の上部に「広告」と表示された『文字広告』のこと)や、あるいはSNSの偽アカウント広告から偽通販サイトへ、巧妙に誘導される仕組みになっています。
つまり、入り口がすでに通常の通販サイトと全く同じなのです!
気がつくと偽通販サイトのトップ画面へアクセスしているというわけです。しかものこのトップ画面を見ただけでは偽通販サイトには見えないというわけ。
では、私たちは騙され続けなければならないのでしょうか?
否です!通販サイトに訪れた際、どこをなにをチェックするべきかを知ることで、ひっかかる確率がぐんと下がるでしょう。
どこをチェックすればいいの?
”まずは販売価格”相場との比較で安すぎるのは超注意
まずは一般的に値引き率が10~15%オフのところ、「全商品60%オフ」など、
販売価格が相場と比べて大幅に安く表示されているケースは怪しいです。
私たちは、「格安」「お得」等の宣伝文句につられてしまいがち。相場よりも倍以上安い事は普通に考えてもあり得ないですよね?
こういうサイトの場合、会員限定で更に安くなるとか、会員価格は登録後に見られるようになるとか、言葉巧みに登録を促してきます。
登録した個人情報は自ら差し出したも同然です。気を付けてください。
更に、実際には送られてこない衝撃割安価格の商品を購入するハメになるかもしれません。

あなたは、「カルティエの時計「パンテール ドゥ カルティエ ウォッチW3PN0007(公式価格1,834,800円)が58%オフ770,000円で販売中!」に飛びつきますか?
価格コムの最安値でも1,480,000円なのに・・・
会社概要(運営者情報)をチェックする
公式通販サイトには、必ず会社概要か運営者情報のページ(以降、「販売者情報」と呼びます)が用意されています。
これは、通信販売サイトで法律上必ず必要な表記(特定商取引法に基づく表記)に当たるからです。
そもそもこの表記が無いサイトでは購入してはいけません。
ところが偽通販サイトはこの個所を適当に偽装して表記したり、手を入れずにそのままブランド会社の情報をパクって表記していたりします。聞いたことのない会社名や実在しない住所が書かれているケースがそれに当たります。
購入したいなと思ったら必ず販売者情報を見る習慣をつけましょう。
そして、少しでも怪しいと感じたら、会社名・所在地・電話番号といった情報を検索にかけましょう。
ブランド本来の会社情報なら検索結果に矛盾はありませんが、偽情報の場合は意味不明な検索結果になるので、チェック可能です。
表示されたページのドメインを確認する
偽通販サイトには絶対にできない事(管理権限を乗っ取られたケースは除外します)が一つあります。
それは、まったく同じドメインを使用する事です。
ドメインは同じ英数字の並びを重複登録する事が出来ません。これは絶対なのです。
そこで、偽通販サイトは「そっくりなドメイン」を登録して使ってきます。
例えば「rakuten.co.jp」を「rakten.jp」や「rakuten-co.jp」とか、パッと見で勘違いしそうな奴です。「amazon.co.jp」を「amazonco.jp」とか「amazone.jp」とか。ドメインを確認すれば気づく可能性は高まるはずです。今やSSLの有無(セキュアなサイトであるかどうか)では判断は出来ませんので、安全な接続先だからと油断は大敵です。
決済方法が限定されていたら危険度アップ
公式通販サイトでの決済方法は一般的に、
クレジットカード・コンビニ払い・後払い(ミライ払い)・代金引換・ペイパル・銀行振込など、
かなりの決済手段が用意されています。
決済方法の多様さがユーザーの利便性に直結し売り上げに影響するからです。
しかし、偽通販サイトの場合、偽物であるがゆえに決済会社との契約が難しい上、前払い方式の決済(「銀行振込」や「クレジットカード」など)に限定されがちです。
なぜなら商品が届いてからだと詐欺がばれて回収できなくなるからです。
決済方法が限定されていたら疑ってみましょう。
問い合わせがフリーメールは有名通販サイトに限り要注意
大手の有名通販サイト限定ですが、
問い合わせ先や返信メールがフリーメール(gmailやyahooメールなど)だった場合は偽サイトの可能性が高いといえるでしょう。
零細ショップでは「BASE」等を使って運営している通販サイトも多いため、その様な零細ショップではgmailはよく使われています。
一定規模以上のショップで使われるメールアドレスには、会社名やブランド名のドメイン(@マークの右側)が使われることがほとんどですから、零細ショップでなければ確認してみるのも悪くありません。
日本語が不自然ならヤバい
機械翻訳機能を使ってサイトが作られている場合は日本語の文章が不自然で、すぐに気付くことができるでしょう。
特に「あなた・あなたたち」や「私・私たち」「それ・これ」等を多用している(英文を機械翻訳したらそうなる感じ)文章の場合は注意して損はありません。
日本語は基本的に主語を語らない文章が多いため、日本語圏外で先行した詐欺の場合、こういう特徴がよく見られます。
偽通販サイトに支払ってしまったら

銀行振込した場合
振り込みが完了してしまうと取り返すのは困難な場合が多いです。詐欺を働く集団は成功したらすぐに出金して行方を眩ませるためです。銀行は原則的に振込先の承諾がなければ組み戻しを行えません。
振込の「組戻し」とは、振込手続が完了し、振込資金が受取人口座に着金した後で、振込資金の返却を行う手続のことです。 組戻し(振込資金の返却)のお手続は、受取人さまの応諾が必要であるため、お日にちがかかります。
smbc 三井住友銀行 よくある質問内 「【振込】振込の組戻し(振込資金の返却)について知りたい」 より
しかし、銀行に相談し警察署に被害届を出し、偽サイトの口座がタイミングよく凍結されれば、支払った金額が戻る可能性はあります。
いずれにしても、個人として動くとかなり大変で嫌な思いをします。
高額の返還なら出来るだけ早く弁護士に相談する事をお勧めします。
クレジットカード決済した場合
早急にクレジットカード発行会社に連絡して、カード支払いを停止してください。
発行会社からの指示に従って必要な書類などを提出しましょう。
よく求められるのは、取引の証拠として偽通販サイトでのやり取りの記録(注文確認メールや受注メール)や決済画面のスクリーンショットなどです。
疑わしいサイトとの取引でなくても、これらは取引が完了するまで保管しておく習慣をつけるようお勧めいたします。
【重要】同じID・パスを使っているサイトのパスを変更しよう
偽通販サイトで登録したログインIDとパスワードを変更することで、盗まれた個人情報からの被害拡大を軽減します。同じID・パスワードで登録したサイトは、できるだけ早く変更手続きをしましょう。
偽通販サイトかどうか迷ったら?
何かおかしいなと感じたら、すぐにブラウザ(Internet Explorer、Microsoft Edge、Google Chrome、Safari、Firefox、Operaなど)を終了しましょう。
詐欺にあったのか確信が持てない場合は、消費者ホットラインや都道府県警察のサイバー犯罪窓口に電話してみてもよいでしょう。
- 消費者ホットライン 局番なしの「188」
- 警察相談専用電話 #9110
最後に
年々、偽サイトによる詐欺の手口は巧妙になっていて、被害総額も拡大する一方です。人気ブランドの通販サイトだけではなく、SNSやメルマガなどにも注意が必要です。
PCでメールを見る方は、メールをテキストで開くようにオプションを変更しましょう。そうすれば、偽装されたリンク(表に見えるURL文字列と実際のアクセスURLが違う事)も見破ることができます。
スマホの場合は、信頼できるメルマガや送信者でない限り安易にメールのリンクを踏まずに、ブラウザから検索するかブックマークからアクセスしましょう。
そして、このサイトだけでなくネット詐欺に関する情報を常にチェックすることで、詐欺被害にあわないように気をつけましょう。
記者:ろこひた/編集:Akihisa.Y
出典:消費者庁/報道資料2021年度


