【最新コラム】実際にされるとマジ切れ確定!?「おとり広告」を許すな!

鍵をなくしたときは、慌てず・焦らず・冷静に!

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鍵開け道具

鍵の開錠・修理に関する8つのウェブサイト(消費者への注意喚起リリースはこちらをご確認ください)を運営する事業者(以下、鍵開け業者)に、消費者庁は業務停止命令を出しました。また、これらのサイトが名称や電話番号などを変更して同じような広告をする可能性があるので、私たちが間違って利用して被害が拡大しないように、同時に異例の注意喚起が行われました。

この鍵開け業者の事例から、私たちが覚えておくべき重要な教訓を導きます。

今回の鍵開け業者とはどんな流れで取引されたの?

では、カギをなくして途方に暮れるAさん(仮)が、スマホを使って鍵開け業者に依頼する流れを見てみましょう。

  1. 自宅前でカギがない事に気づいたAさん。ポケットからカバンから全ての可能性がありそうな場所をまさぐってみたけどカギは見当たらず。落としたのか、どこかに置き忘れたのか定かではないけれど、ひとまず部屋に入らないと話が進まないと、鍵屋を呼ぶことを決意します。
  2. 手元にあるスマホで検索。出てきた検索結果の最初の方からサイトを確認して、掲載された金額などを確認して安くて信頼できそうと思った『鍵開け業者』に電話をかけました。
  3. 電話はコールセンターにつながり、鍵の種類やブランド、メーカー、形状など準備に必要な内容のヒアリングに答えていきます。
  4. 一通りヒアリングに答えたところで、Aさんはおおよその金額を訪ねてみたところ、電話の応対者から「費用については現場で作業員が実際の鍵の状態を見て見積もりする」ことを説明されます。金額については何度尋ねても同じ答えしか返ってきません。
  5. 仕方なく同意し現場に来てもらう事を依頼すると、電話での対応はそこで終了しました。あとは現場に作業員さんが到着するのを待ちます。
  6. 作業員さんが現着。作業員さんは対象の錠を確認した後、その場で見積もりを作成しました。サイトには数千円と記載されていたにもかかわらず、10万円越えの作業費用が見積もられました。
  7. Aさんは、作業員が言う「高い理由」に、たいして納得は出来ないながらも、渋々作業を依頼します。作業員さんは契約サインを確認すると、一連の作業に取り掛かりました。
  8. やがて作業が完了すると扉は開き、ま新しいスペアキーを受け取って、その対価として見積もりの金額を支払いました。

このように作業員が自宅や指定の場所を訪問して契約を結ぶ方法を、訪問販売と言います。

なにがダメで業務停止命令がでたの?

訪問販売という販売形態は、申し込みの撤回(契約の解除)や、クーリング・オフ(契約締結から8日以内の契約解除権)が法律により義務付けられています。単純に出来るというだけで無く、契約時にこの事実を契約相手に伝えてる義務を負っているのです。

業務停止になった鍵開け業者の作業員は、先ほどの流れで見たように訪問販売をしたにもかかわらず、法律で定められた契約解除やクーリング・オフに関する説明もその求めにも応じなかった様です。

例えば、「お客様からお電話頂いてお客様から訪問を依頼されている」ので、「契約解除は出来ない」とか、「クーリング・オフは受け付けられない」などといった説明をしていた様です。他にも、契約解除を求めた利用者に対し、クーリング・オフ制度では支払った金額を返さなければならないのに、返金しませんでした。

このような行為は「特定商取引法上の訪問販売における禁止行為(法第6条)」に当たり、業務停止命令が出されました(特定商取引法ガイドを参照)。

訪問販売の禁止行為とは?

禁止を語る前に前提の「訪問販売にあたる行為」についておさらいしましょう。

怪しい訪問販売員
怪しい訪問販売員

訪問販売にあたる行為とは、セールスマンが自宅に直接訪問して商品・サービスを売る、昔のイメージなら「押し売り商法」がまさにこれに当たります。他にも、喫茶店や路上といった店舗とは言えない場所での販売も訪問販売に該当します。またホテルや公民館を一時的に借りるなどして行われる展示販売のうち、期間、施設等からみて、店舗とは呼べない様な場所での販売も訪問販売に該当します。

例えば、少し複雑なケースだと、路上等営業所以外の場所で消費者を呼び止めて営業所等に同行させて契約を締結させる場合(いわゆるキャッチセールス)や、電話や郵便、SNS等で販売目的を明示せずに消費者を呼び出したり、「あなたは特別に選ばれました」等、他の者に比べて著しく有利な条件で契約できると消費者を誘って営業所等に呼び出したりして契約を締結させる場合(いわゆるアポイントメントセールス)もそれに当たります。

特定商取引法においては訪問販売にあたる行為を行う上で禁止されているのは、売買契約について故意に事実を告げないこと、契約解除やクーリング・オフをさせない目的で事実と違うことを告げること、威迫することなどです。

クーリング・オフって、なに?

訪問販売では消費者は同種商品の比較検討ができないことや、高圧的な態度で契約させられる危険性があります。クーリング・オフとはそのような場合でも、契約した日から数えて8日間は無条件で契約の撤回・解除が認められる制度です。

クーリング・オフを受けた事業者は、消費者が商品や権利を受け取っている場合であっても、原則、事業者の負担で返品を受け付けなければなりませんし、すでに受け取った購入代金も全額返金しなければなりません。

ただし、一部の消耗品を使用した場合や総額3千円未満の商品やサービスには適用されないので、注意が必要です(特定商取引法ガイドを参照)。

鍵をなくした時の重要チェック項目

突発的に困った事態に直面したとき、どんな人でも焦ったり慌てたりしてしまい、普段であれば冷静に判断できることができず、思わぬトラブルや事故が発生しやすくなります。

『自分だけは大丈夫!』との過信は禁物です!

鍵をなくした時のチェック項目をまとめてみました。

  1. 身に着けている衣服のポケット、持ち物のバッグや収納箇所をすべて探しましょう
  2. カギを確認した時点から今までの立ち寄ったところを探しましょう
  3. 警察に連絡し届いていないかを確認しましょう
  4. 賃貸住宅にお住まいの方は、管理会社か大家さんに連絡してみましょう
  5. 持ち家の方は、合鍵を渡している家族や知人に連絡してみましょう
  6. 管理組合があるマンションなどの場合、マスターキーが使えないか連絡してみましょう
  7. 契約している火災保険の付帯サービスとして、鍵業者を手配できるか連絡してみましょう

これだけチェックしても無理な場合は素直に鍵業者のお世話になるしかありません。

鍵業者に頼むときの注意点

急いで開錠するために、インターネットで鍵業者を検索する場合もあるでしょう。ただし、信頼のおける知人からの紹介以外で、どんな方法で見つけた鍵業者でも必ず以下の3つのことに注意してください。

  • 安い金額が書かれていても、出張費がかかったり、鍵のメーカーや形状によって追加料金が発生するなど、思ってもみない金額が請求されないように事前に確認すること
  • 不当な金額設定になっていないか、他の鍵業者と比較すること
  • 訪問販売を受け、クーリング・オフができないかのような説明があったときは、すぐに消費生活センターに相談すること

鍵開け業者の事例から学ぶべき教訓

ここまで見てきた通り、悪徳な鍵開け業者は、私たちのピンチに付け込んだ悪辣な手口で大事なお金を掠め取ろうと悪智慧を働かせています。鍵開け業者に限らず世の中にはこのような相手の弱みに付け込んだ商法が数知れず存在しています。

訪問販売だけではなく、商品やサービスを購入するときは不当な契約や法外な請求を受けない様、私たちは冷静になって契約内容を確認する必要がありますね。特に金額が正しくわかりやすく書かれているか、その金額が特殊な条件下だけの誤解を与える情報になっていないかは大事なポイントなのでしっかり確認しましょう。

訪問販売の場合は、契約後でも撤回や解除ができるクーリング・オフ制度が使える事を覚えておいてください。

訪問販売以外でも、同種商品を比較したり口コミやレビューを見るなど、広告や販売者にあおられず、冷静でいられるよう心がけましょう。

記者:ろこひた/編集:Akihisa.Y

出典:消費者庁/報道資料2021年度

2022年2月25日発表:特定のウェブサイトからの訪問販売による、鍵の開錠・修理等に関する役務の取引に関する注意喚起

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