【最新コラム】実際にされるとマジ切れ確定!?「おとり広告」を許すな!

実際にされるとマジ切れ確定!?「おとり広告」を許すな!

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チラシで見た特売品を買うために店頭へ行くと、その商品は売り切れとされて他の商品をすすめられた、という経験をした方もいらっしゃるでしょう。
でも、その売り切れの特売品、売り切れていたのではなく元々在庫が無かったか、極少人数で完売となる量しか入荷していなかったとしたら?
期間が設けられている特売品が初日で完売して残り6日間は存在していない商品を特売品としてチラシに掲載され続けたら?
このご時世、私たち庶民は節約に汲々としているため、価格に敏感です。
そんな私たちに「安い」という疑似餌をまいて店におびき寄せ、割引していない商品を買わせてバックヤードでニヤニヤしているなんて、許せないですよね。

この記事では、おとり広告とは何なのか、そしておとり広告が使われた事例を紹介します。
その上で私たちができる自衛手段についても考えていきます。

「おとり広告」ってなに?どんなケースが当てはまるの?

おとり広告とは、実際には商品やサービスが存在していないのに広告に掲載し、私たちの購買意欲を刺激し、店舗やサイトに誘引して、広告していない他の商品やサービスを売りつける手法です。
おとり広告は景品表示法の「著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)」、「著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)」のいずれか、或いは両方に該当する広告手法です。
おとり広告には4つのパターンがあり、それぞれの類型を知ることは非常に重要なので、以下にご紹介いたします。

パターン1

取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合や、実際には取引に応じることができない場合の、その商品又は役務についての表示。
実際に想定されるケースとしては、広告日よりも前に完売してしまい、広告商品が実際には店頭にない状態となったにも関わらず、完売したことが記されていない広告によって、顧客は店頭で販売されていると思い込まされてしまいます。

パターン2

取引の申出に係る商品又は役務について、供給量(在庫/仕入れ)が著しく限定されているにも関わらず、その限定の内容が明示されていない場合の、その商品又は役務についての表示。
実際に想定されるケースとしては、合理的に予測できる販売数量に対して準備できた商品数が半分にも満たないほど少ないにも関わらず、限定性の程度が記されていない広告によって、顧客は店頭に十分な数量があると勘違いさせられてしまいます。

パターン3

取引の申出に係る商品又は役務について、供給期間や供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにも関わらず、その限定の内容が明示されていない場合の、その商品又は役務についての表示。
実際に想定されるケースとしては、購入が1人1個に限定された販売形式にも関わらず、購入できる数量に限定があることが記されていない広告によって、顧客は店頭で欲しい数量分(複数)購入できると錯覚させられていまいます。

パターン4

取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合、或いは実際には取引する意思がない場合の、その商品又は役務についての表示。
実際に想定されるケースとしては、広告されている商品を購入に訪れた客に対し、購入希望商品の悪い情報を伝えて購買意欲を失わせて別商品の購入を強く勧めたり、そもそも広告した商品の取引に応じないなど、売る気のない商品を餌に店頭へ誘引する広告によって、顧客は広告商品が手に入らないことを知らずに騙されてしまいます。

おとり広告を行った事が消費者庁の知るところとなれば、国民に向けた注意喚起が行われると同時に、自らで違反したことの周知徹底と、再発防止策の報告義務が課されます。
特にひどいケースの場合は、行政処分を伴う措置命令が出されます。
それ以外にも、マスコミの格好の餌食となって、ネガティブキャンペーンを張られる時もあります。
だから、おとり広告は企業の信頼を失わせ、長期的に大きな損失を発生させる可能性があるので、あまり良い作戦とは言えません。

過去にあったあくどい「おとり広告」を知る

有名店や大手企業で発生したおとり広告は、ニュースでも大きく報道されているため、見たことがある方や実際に被害にあわれた方がいらっしゃるかもしれません。
ここでは、具体的な事例をご紹介します。

業界1位の某有名すしチェーン店

キャンペーン期間の特別メニューとして広告されていた3種類の料理が、キャンペーン期間中に多くの店舗で終日提供されていなかったことで、消費者庁から景品表示法違反を通知されました。
「売切御免」と表記はされていましたが、供給量が不十分であることが予見できたにもかかわらず、在庫切れの事実を公表せずに、大々的なキャンペーン広告を続けて集客し続けたことが問題視されました。

上場大手で業界トップのドラッグストアチェーン

新型コロナウイルスが猛威を振るい、マスク需要の高まりが喧伝される中で、広告の為に仕入れた数量では全く需要量を満たせないことが予見できたにもかかわらず、甘い見通しのまま掲載期間中に在庫があるかのような広告を折り込みチラシで広告した事で行政指導が行われました。

大手賃貸仲介業者

ある大手賃貸仲介業者は、賃貸物件情報サイトや情報誌の広告で、実在しない物件や契約済み物件を掲載していました。他にも実際に物件は存在しても偽条件が記載していることも発覚しました。このような広告は不動産業界で広く認知されていて、「客寄せ物件」「釣り物件」と呼ばれています。

3大キャリアの一角の携帯電話会社

セールスキャンペーンにより特定商品を特別価格で販売すると告知していながら、そもそも店頭在庫がなかった事例です。サイト上で「在庫限り」「在庫がなくなり次第、終了です」と注意事項は表記されていたものの、「そもそも在庫がある」ことが前提の表現を用いており、「在庫がなくなるのは例外」とする表現となっているので、そもそも店頭在庫がなくて販売できない状況に対する適切な広告表現とは言えないとして、景品表示法違反と措置命令が出されました。

関西の中堅スーパー

約68万世帯に配布されたチラシとウェブサイトで「神戸牛3割引き」と掲載していましたが、実際には神戸牛の仕入れはされておらず、チラシを作ったスーパー側もテナントとして実際に販売を行っているテナント入居業者もチラシの内容について確認を怠るなど、ずさんな業務実態が明るみとなりました。この大手スーパーは長期間、商品確認をしないまま広告を出し続けていました。

インターネットにもある「おとり広告」

わたしたちはインターネット広告の情報は常に新しいモノが掲載されていて、すぐに購入や取引できるものと認識します。
インターネット広告は最新の情報に更新されやすい特徴があるためです。
しかし対象期間が終了しているにもかかわらず広告表示を削除しない、「売り切れ」などの取引情報を公開しないなど悪質な業者も存在するため、他の情報源をあたるなどして注意しましょう。

おとり広告に対抗する手段と、おとり広告でないケースについて

おとり広告は、私たちに誤った認識をさせて店舗やサイトに意図的に誘導するものです。
実際におとり広告による「不当な勧誘行為」と認められた場合は、契約を取り消すことができます。
また、おとり広告により不利益を被った、不利な契約を結ばされたという場合には、クーリングオフ(契約解除)の対象に出来る可能性もあるので、法的手段で対処する事も視野に検討してみましょう。

なお、特売品などの目玉商品を使って客寄せをして他の商品を「ついで買い」してもらう手法や、数量限定販売の商品が早々に売り切れたために他の商品をすすめるなどの意図的でない場合については、おとり広告とはみなされません。

騙されないためにわたしたちが注意することは?

おとり広告は以前から認知され、これまでさまざまな業界で注意喚起がされてきました。
しかし現実的には、おとり広告を見分けることはかなり難しいでしょう。
2022年7月には、ふたたび業界1位の某有名すしチェーン店で「ビール半額キャンペーン」広告が開始日を明記していないフライング広告(おとり広告)となってしまい、キャンペーン目当ての来店者が被害にあいました
広告を見ておかしいなと感じたら、「企業名 商品」「企業名 キャンペーン」など検索し、売り切れ情報や限定情報、キャンペーン期間が出ていないかをチェックすることをおすすめします。
おとり広告が影響して不当な取引を迫られた場合は、すぐに「消費者ホットライン188」に相談しましょう。

まとめ

この記事では「おとり広告」とは何なのか、そして「おとり広告」が使われた事例を紹介しました。
その上で私たちができる注意点や対抗手段についても考察しました。
販売を行う業者の立場で考えれば、広告を作る際に、メリットやお得感を伝える為に極端に誇張した表現を使ってしまう可能性がある事は想像に難くありません。
なぜなら一般的にインパクトのある広告の方が、効果が高いからです。
そのため世間の注目を集める広告ばかりが求められ、世の中には強い言葉や印象的なビジュアルの広告があふれています。
私たちはそのような広告に影響されやく、習慣的に「安い」広告に誘引されがちです。
おとり広告を使うような悪質な業者はそのことをよく承知していて、安さに目を奪われて引き寄せられた私たちに、彼らにとって都合の良い商品やサービスを売りつけようと目論んでいます。
「おとり広告」には十分に気を付けて、やられたと思ったらすぐさまお断りする勇気を持ちましょう。

記者:ろこひた/編集:Akihisa.Y

出典:消費者庁/報道資料2022年度

2022年6月9日発表:株式会社あきんどスシローに対する景品表示法に基づく措置命令について

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