【最新コラム】実際にされるとマジ切れ確定!?「おとり広告」を許すな!

「新型コロナウイルス予防に効く」には注意しよう

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2022年2月、消費者庁から新型コロナウイルスの予防効果を表示した商品の事業者に向けて、インターネット広告の表示内容についての改善要請が発表されました。

対象とされたのは、2021年12月から2022年2月の間に販売された、39事業者の33商品。

消費者庁からの発表によると、景品表示法あるいは健康増進法の「虚偽・誇大表示」にあたるとして、効果を裏付ける根拠があるとは認められなかった商品の広告表示に対して、表示を改めるよう求めています。同時に私たち一般の消費者にもこれらに類似する商品を買うときには注意するよう、SNSを含めた様々なメディアを使って広報しています。

どんな商品が対象となったの?

対象商品の内訳は、「健康食品」が28商品、「首掛け型空間除菌剤」が2商品、「抗ウイルス処理カーテン」が2商品、「マイナスイオン発生器」が1商品でした。この中から特に気を付けたい一部を、「新型コロナウイルスの予防効果を裏付ける根拠がない表示」の具体例(抜粋)として見てみましょう。

健康食品

  • 〇〇大学の研究で話題、コロナウイルスの増殖を抑える効果がある5-ALA(5-アミノレブリン酸)
  • コロナ対策、免疫力UP、毎日1杯の味噌汁(メラノイジン)でアンチエイジング
  • はちみつの薬効、免疫力アップによる風邪予防、細菌やウイルスの撃退、コロナに負けない
  • ビフィズス菌で、コロナ対策、免疫を高め、病気に負 けない体を作る

首掛け型空間除菌剤

  • 感染予防 コロナ対策 電車・オフィス・学校など人の集まる場所や身の回りの空間のウイルス対策

抗ウイルス処理カーテン

  • コロナウイルス粒子を破壊! カーテンにも「安全」洗濯しても効果が続く!だから安心!カーテンの繊維に吸着したウイルスにアタック!

マイナスイオン発生器

  • 用途:感染防止 ウイルス 花粉 たばこ コロナ 除菌 殺菌 消臭対策

新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請及び一般消費者等への注意喚起について」より抜粋

消費者庁HPより

ところで消費者庁ってなに?

消費者庁(しょうひしゃちょう、: Consumer Affairs Agency、略称: CAA)は、日本の行政機関のひとつ。消費者に関する行政および消費生活に密接に関連する物資の品質表示に関する事務を行うことを目的として設置された内閣府の外局である。

wikipedia「消費者庁」より引用

ざっくり言うと私たち消費者が購入・消費する食品や製品について、消費者の安全、安心にかかわる問題を幅広く監視・指導する役割が期待されたお役所です。商品パッケージや店頭等での小売・広告等の「表示」、インターネットなどの通信販売等における「販売方法」、商品や製品の「安全」、金融商品等の「取引」など、消費者にとって身近な安心・安全・適正を実現する為の商環境を監視して、被害の発生・拡大を防止する為に指導し是正を図ること、消費者に注意喚起する事がもっぱらの役目です。

消費者庁が行った注意喚起とは?

注意喚起とは、「注意を促す」「気をつけることに意識を向けさせる」という意味の言葉です。消費者庁では、「虚偽・誇大表示」に対して常に目を光らせ、改善要請などの対策をしています。

例えば、新型コロナウイルス感染者が急激に拡大すると、予防効果を期待する消費者が増えることが予想されます。そのため、消費者が優良な商品やサービスを求めるあまり、実際には根拠のない「虚偽・誇大表示」に惑わされる危険が増加する可能性があります。本来その様な広告表示は「景品表示法」や「健康増進法」といった法律で取り締まりの対象とされています。しかし、「嘘っぽいから」というだけで取り締まる訳にはいきません。取り締まって処分するにも手続に時間がかかるのです。

その為、消費者庁は報道発表の形で、新型コロナウイルス感染に大きな不安を抱える消費者に対し商品の表示を冷静に判断するよう用心してほしいと伝える「注意喚起」を行った訳です。

景品表示法や健康増進法ってどんな法律なの?

「景品表示法」は、販売する商品や契約するサービスを実際よりも良く見せかける事で、購入する消費者が不利益を被らないように制定された法律です。

「健康増進法」は、国民の健康増進と現代病予防の向上を目的とした法律で、生活習慣の知識普及や特定保健用食品の表示に関する項目も含まれています。

今回改善要請の対象となった商品は、景品表示法では「優良誤認表示」、健康増進法では「食品の虚偽表示」にあたり、これら「誇大表示」された表記・広告によって消費者に不利益を与える可能性があると判断されました。

どうして誇大表示はダメなんですか?

えっ?あなたは過剰に美化された言葉で効きもしない商品を勧められて買いたいですか?

私たちが商品を買う時、商品の良し悪しをパッケージや広告に表記された「言葉」や「写真・イラスト」で判断しますよね?

売り場には合理的な根拠のない効果や性能が表示された商品も陳列されている事もあります。私たちがそれを誤って「良いものだ」と判断して購買・使用してしまう事は、私たちの適切な商品・サービスを選択したいという消費者心理とは相反する行動です。つまり意図しない行為へ誘導された(騙された)という事なのです。

また、そのような不正確な表示をされた商品が実際には私たちの健康に重大な被害を与えたり、適切な診療機会を奪う可能性だってあります。インターネットや最近ではスマートフォンの爆発的な普及で、あらゆる世代に広告が個人ごとに最適化されて表示できるようになった今、新型コロナウイルスの猛威がおさまらない今だからこそ、よりリテラシーを発揮して注意深く情報を精査する事が重要です。

じゃあ実際に新型コロナに効く食品や素材を教えて!

現時点(2021年8月11日時点※1)で、新型コロナウイルス感染への予防効果が確認された食品・素材の情報は、確認できません。しかし、インターネット上には多くの誤った情報であふれています。

例えば、ビタミンD、ビタミンCが新型コロナウイルス予防に効果があるかの様に書かれたページを見かけますが、現時点(※1)ではそれが事実として提出された論文は見当たりません。「まだ証明されてないだけ」かもしれませんが、今は証明されていないという事実は覚えておいた方が良いでしょう。

ちなみに内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室から新型コロナウイルスに対する基本的な感染防止策として発表されているのは次の4点です。

  • 手洗いの徹底
  • マスクの適切な(すき間なく)着用する
  • 三密(密閉・密接・密集)の回避
  • こまめな換気

食品や素材について全くかすりもしない内容です・・・

※1 出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所調べ

風邪やインフルエンザに効くといわれる物なら効くでしょ?

風邪やインフルエンザに効くといわれる食品で、新型コロナウイルス感染に予防効果が確認されたものも残念ながらありません。風邪やインフルエンザに有用といわれているサプリメントや食品などで、新型コロナウイルス予防もできるのではないかと希望を持つ人もいるかもしれませんが、未だに確からしい研究結果は見当たりません。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所は「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nibiohn.go.jp/)で、米国国立医学図書館が作成している信頼されたデータベースを使って「風邪やインフルエンザに対する予防効果の情報について調べた結果」を発表しているので、具体的な食品名を確認してみてはいかがでしょうか。

じゃあどんな感じに気をつけて商品を買えば良いの?

  • 「手洗いやマスク着用以外で予防できる方法があれば知りたい」
  • 「予防対策はとっているが不安が拭えない」
  • 「食べるものから予防対策ができないか」

と考える消費者も少なくないでしょう。

今のところ、新型コロナウイルス予防に合理的な根拠のある効果・性能を持つ商品はどこにも報告されていません。私たちは、購入しようとする商品の表示が、誤認させるような「虚偽・誇大表示」をしていないかを判断する注意深さが必要です。特に新型コロナ関連の商品については、たとえ一部上場の大企業が「効く」と宣伝していても、それに対して盲信せず、私たちが期待する商品であるのか今一度問いかける心の余裕を持ってお買い物しましょう。

記者:ろこひた/編集:Akihisa.Y

出典:消費者庁/報道資料2021年度

2022年2月18日発表:新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請及び一般消費者等への注意喚起について

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