
インターネットや雑誌の広告欄には、化粧品や健康食品などの商品宣伝があふれていますね。
そんな広告の中にはお試し価格がとても安く紹介されていることもあり、つい「これなら1回お試しで買ってみたい!」と思う人も多いでしょう。
しかし、1回だけのお試し注文のつもりが継続〇回が前提だったり、効果を感じなければ返金保証とされていても返金してもらえなかったり、宣伝に載っていた商品が売り切れで別の更に高級な商品を買わされたりと購入時には考えてもいなかったような様々なトラブルが報告されています。
そんな中でも最近特に問題視されてきたのが「定期購入(又は「サブスク」と言ってる事もあります)」を使った手口です。
2022年6月から施行される改正法で、この「詐欺的な定期購入」契約に私たち消費者も助かる望みが出てきました。これまでの背景とともに解説していきます。
そもそも通販の定期購入って、どんなもの?
決まった商品を毎月または一定期間ごとに購入する際に便利なのが通信販売の定期購入の仕組みです。毎月一定量を消費する化粧品やサプリメント、ミネラルウォーター等でよく利用されています。
定期購入の仕組みがないと、毎月同じ注文を手作業で行うのはとてもわずらわしい事です。
ところがこの便利な定期購入が最近何かと問題視されています。それは定期購入の仕組みを使った、ちょっといかがわしい、もっといえば詐欺まがいの商法が増えてきたからです。
いかがわしい商法ってどういうこと?

たとえば、とても安いお試し価格が大きく強調表示されていて、その他の重要な取引条件が分かりにくくしてあったりします。また、定期購入で多いトラブルとして、定期購入がコース契約(一定の期間又は回数購入する契約)になっていて、途中解約できなかったり最終的な支払総額が大きかったりといったケースも見受けられます。広告内容には「途中解約可」とデカデカとうたわれていますが、実際には最低期間や回数の設定があって最低未満では解約できないと解約拒否される事もあります。これらの契約上重要な取引条件が広告の目立たない場所や目立たない大きさで記載されているなど、私たちが見落とすことを計算したかのような広告表示が後を絶ちません。
その他にも、30日間返金保証を謳いながら、その実返金に条件があるとか難癖をつけたり、問合せそのものが出来なかったりするケースもある様です。効果を実感できず返品したくても、返品を受け付けてもらえなかったという話もよく聞くようになりました。
これら、私たちが購入する際に販売者の善性を信じてしまい見落としたりしてしまう隙間を巧妙についた宣伝手法で販売を行う商法の事です。まったくのウソをつているわけではない為、詐欺とまでは確定できない、詐欺的な商法といえます。
初回と2回目以降の金額が大きく違うケース
先に触れた契約条件の問題以外にも、初回無料や超激安の980円とかワンコイン価格とかでお試し購入といった宣伝もサプリや健康食品などの広告でよく見かけます。お試しで購入してみようと注文して商品が届き、同封された請求書を確認してビックリといったケース。これは1回だけのお試しのつもりで頼んだのに、実はコース契約になっていて複数回分がまとめて請求されるといったパターンです。
請求書を見て慌てて通販会社に問い合わせても、契約解除できず泣き寝入りしなければいけない事が多いと聞きます。通販は原則クーリング・オフができませんし、契約内容に不満があっても請求通りの金額を支払わされることになりがちです。
解約したいのに業者と電話が繋がらない時は
定期購入を解約しようと思って電話をしてみたものの、業者と繋がらないケースもあります。何度かけても話し中でつながらないなどです。その場合は、曜日や時間を変えて電話をかけ直してみましょう。それでも状況に変化がなければ、問い合わせ先に指定されているメールやLINEに連絡を送ったり、相手が準備している連絡手段はすべて試してください。そして、たとえつながらなくとも、電話をした日時やメールの履歴はしっかりと保存しておいて下さい。万が一の時に役立つのでうっかり消さないようにするのが良いでしょう。
そもそも中途解約はできるの?
期間や回数を定めたコース契約の場合、一般的に中途解約の方法を定めて契約された場合でない限り、中途解約は相手次第という事になります。つまり、とても難しいという事。良心的な対応をする業者であれば解約申し出を受け入れてそこまでで打ち切りとしてくれるケースもあるでしょう。しかし最低期間分は一括精算とか、最低期間は解約できないとか、場合によってはコース契約は解約できないと突っぱねる事も十分にあり得ます。
どうか商品の購入前に冷静になって、今一度取引条件を確認するように努めましょう。中途解約の条件や清算方法が記載されていない相手との取引はどんなに欲しいと思う商品であっても、騙されて悔いなしの覚悟が出来るまで我慢する方が賢明です。なにせ、そんなごまかし表記をする業者は中途解約なんてさせてくれない可能性が高いのですから。
令和4年6月に法律が変わるとどうなる?
通信販売は、訪問販売とは異なり突然の契約ではないので、クーリング・オフができません。
そのため、これまで通販の定期購入で予想していなかったトラブルにあっても私たちは何もすることができませんでした。しかも、私たちが通販で勘違いさせられて定期購入をしても、業者には何らの責任もありませんでした。そこで、私たちが定期購入と分からず間違えて契約した場合、その契約の元となった広告表示が定期購入であることをわかりやすく表示していなかった場合、私たちは業者に対して契約を解除できる可能性がでてきました。それが令和4年6月に施行される「特定商取引法」の改正内容です。
特に通信販売における詐欺的な定期購入商法に対する対策が強化されました。
例えば、定期購入とは分からないよう誤魔化したり誤認させたりする表示を行った場合は、直接業者に対して即時に罰則が適用されるようになります。また、その様な表示がなされたページから申し込みをした場合には契約自体を取り消すことが可能となりました。また、契約解除を妨害する行為も禁止されることになりました。これらの行為を行う業者に対して適格消費者団体が差止請求を行えるようになる等、かなり踏み込んだ改正内容になっています。

困ったときの相談場所は?
消費者ホットライン
局番なしの「188」に電話します。すると、最寄りの消費生活センターにつながります。
受付時間:10:00~12:00、13:00~16:00(土日祝・年末年始は休業)
個人情報(氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業)を聞かれ、通話の内容は録音されます。
国民生活センター
消費者ホットラインがつながらない時は「03-3446-1623」の国民生活センターが対応します。
また休日にあたる土日祝祭日も相談が可能です。
受付時間などが細かく決められていますのでガイダンスをよくお聞きになってご利用ください。
個人情報(氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業)を聞かれ、通話の内容は録音されます。
トラブルとなる前に気を付けておきたいこと
通販の定期購入は広告表示が分かりにくくて間違えて購入してしまうケースや、残り僅かとかカウントダウン表示などに煽られて購入してしまうことが多いもの。わたしも「在庫僅少」とかにはめっぽう弱い質です。でもその様な表示で心を奪われても、購入前に今一度落ち着いてしっかりと注文内容を確認するようしましょう!
注文ボタンを押す前に、特に以下の項目をチェックしてみるのも良いですよ。
- 契約時の画面をスクリーンショットしておく
- 解約や返品が可能か確認
- 1回のみの購入が可能か
- 1回の注文で総額がいくらかを確かめる
TikTokやInstagram、Youtube等の動画サイトや通常のWEBサイト等で表示される広告の商品は、お試しでも注文できるものもありますが、定期購入コースの初回の費用となっているものも多いので注意しましょう。
しかし、今後は法律改正によって詐欺的な表示に基づく契約は解除できる可能性が出てきました。通販会社の請求に泣き寝入りするということが減ると予想できます。もちろん、トラブルを回避するために事前に確認してから申し込むことが一番ですが、表示が分かりにくく間違えて申し込んだとしても、諦めないで、まずは「消費者ホットライン」に連絡してみるといいです。
自分一人で業者相手に立ち回るのは難しいと思う方も同様にこうした窓口を積極的に活用するとよいでしょう。とくに成人年齢引き下げにより、18~19歳の人でも2022年より成人として契約できるため、何か困ったことがあったときは、周りの人や消費者ホットラインに相談してみてください。
記者:るな/編集:Akihisa.Y
出典:消費者庁/2021年度発表>政策
インターネット通販の定期購入トラブルには御注意を! 令和4年6月1日から、通販の注文時に内容を確認する際の表示がより明確になります。


